AGA治療の研究は日々行われていますが、中でも目覚ましい成果を出しているのが美容整形大国である韓国です。医療インフラが整っており、なおかつ優秀な外国人材をたくさん取り入れて行われる美容研究の生み出す価値は計り知れません。
今回は2019年10月17日に韓国から発表されたばかりの【フィナステリド注射を用いた研究】についてご紹介します。文字通りフィナステリドを直接頭皮に投与することによって、内服薬よりも効果的に発毛し、かつ副作用を減らそうという試みです。それでは実験の経緯から説明していきます。
実験背景 : なぜ注射なのか
フィナステリドの内服薬はアメリカのFDAにも認められているAGA治療に効果的な成分の一つです。
しかし、遺伝的なハゲは完治しないため、フィナステリドを使って薄毛治療を行おうと思えば毎日継続的に、長期的に薬を飲む必要があります。加えて、フィナステリドの副作用として低確率ですが制欲減退などの効果が確認されています。
そのため、面倒なフィナステリド服薬の回数を減らし、副作用も減らせて、なおかつ効率的にフィナステリド成分を頭皮に届かせる方法が考えられていました。
その結果、フィナステリドを直接頭皮下に投与することによって内服薬以上の効果を発揮させ、なおかつ副作用を抑えようという研究が進みました。
実験内容
現在はマウスによる実験でその効果が確認されています。
実験対象 | マウス60匹を均等に4グループに分けた。 ・グループ1は遺伝的脱毛症になる様にしたマウス15匹に、フィナステリドの注射を実験開始初日に一回だけ行った。 ・グループ2は遺伝的脱毛症になる様にしたマウス15匹に、フィナステリド内服薬の投与を56日間行った。 ・グループ3は遺伝的脱毛症になる様にしたマウス15匹を毛を剃ってそのまま観察した。 ・グループ4は何も操作していない毛を剃ったマウスを観察した。 |
実験期間 | 10週間 |
評価方法 | 皮膚の色、毛の量、毛包の大きさなどを計測した |
実験結果
実験の結果、フィナステリドの内服薬を与えられたグループの86.7%は発毛が促進され、フィナステリドの注射を1回だけ行ったグループの93.3%に発毛の促進が確認されました。
また、注射を行なったグループでは、薄毛の原因となる血液中のDHT(ジヒドロテストロン)が32%減少しており、これが実験期間中、つまり10週間続きました。
これからどうなるか
結果を見ればフィナステリドの注射が薄毛治療に非常に高い効果があることが分かります。韓国の医療チームは、フィナステリドの注射技術が向上することによって、AGA治療患者が毎日薬を飲まなくてもいい日が来るようにこれからも研究を続けると表明しています。
更に、今回の実験では副作用については取り上げていませんでしたが、この研究を発表した研究チームは今後副作用の効果を最大限抑えられる様に研究を進めると報告しています。
フィナステリドは赤ちゃんに悪影響がある可能性があるため、妊婦または妊娠している可能性のある婦人および授乳中の婦人に対して使用するどころか触れることも危険とされています。しかし、これからのフィナステリド注射の研究により、医薬品の安全性を上げられる可能性があります。
現代ではAGAへの理解が深まり、20代、30代からのAGA治療も増えてきました。育毛業界も活発になっており、治療成分であるミノキシジルやフィナステリドの研究はこれからも重要になってきます。そういった中で、極力利便性を上げ、危険性を減らすという需要が高まっているのではないでしょうか。
フィナステリドの注射は人間対象の実験がまだ行われていないために実用化はまだ先ですが、副作用なく、しかも低頻度の治療で薄毛が治ることが可能になれば新しい治療方法の一つとして立場を確立しそうですね。
でもやっぱり…
しかし、薄毛治療の研究で、世界中の薄毛に悩める人から1番期待を浴びているのは毛髪再生医療ですね。
これが早く実用化され、低コストで施術できる様になればハゲに悩む人はいなくなるでしょう。ハゲを直すのが当たり前の世界に早くなってほしいですね。
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